和歌と俳句

阿波野青畝

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イースタや一揆の島としも言へじ

イースタのあまくさびとはだれ休み

朧星一点天草灘にあり

耕人に天草の島多きかな

うつろなるままに流れて田螺殻

西行忌初案再案さだまらず

南無阿弥陀跣のくにの寝釈迦かな

紀の椿飛びて磯菜にころびたり

春潮や切支丹墓地丘を占む

春潮の鏡なしたり天主堂

奉教の迫害の丘麦青し

すこしある五月五日の残り酒

針箱をいぢくる尼や虎が雨

智照尼のうす墨ごろも涼し

満面に汗して酬もとめざる

夕顔や方丈記にも地震のこと

旱魃やねなしかづらの弱りをる

歯のゆるぎ易く老いたり桐一葉

歌に知る東の國の曼珠沙華

燭を持ち黒き我ある野分かな

大台の時化波のごと来る

曼珠沙華日本武の征きし国

天彦にあらそふ百舌も暮れにけり

千曲川わたりて頓に夜寒かな

千曲川奈落に冬日照りにけり