蓬莱の瑞穂の國の穂の長さ
蓬莱のひかげかづらの末までも
天龍に落ちむばかりに干布団
氷紋の窓のみどりや日本晴
水仙や起承転結ととのはず
木場の音止めて柊挿しにけり
春山の噴煙天の鉾となる
春の山それぞれ昔火を噴きし
夜雨至る柳河の菱生ひいそぐ
突風や喪服黒白春うたた
終焉のそのすこし前春の雷
製鉄のけむりひきをり東風の浜
春の水行くのみ古今伝授の間
かわかわと旅の鴉に西行忌
春の雲とびゐる戦場ヶ原かな
花逡巡虚子西へ行くただ一人
大空のうつろよぎりし蛍かな
喜雨祝ふ一本ぎりの般若湯
天の川の下の下部の湯に一夜
われの汽車踊の阿波へ走るのみ
流燈の帯のくづれて海に乗る
安曇野の花野に橋を釣りにけり
戸隠の明るかりける月沈む
野の吾に首をのべのべ雁来たる
深秋の雨とぶ舞子過ぎにけり
天が下十一月の十字墓地
大木をこなごなに割り年木積む
脳味噌をたたらふむなり風邪の神