和歌と俳句

汐干 汐干潟 潮干狩り

纜にせかれし水や汐干潟 泊雲

やちまたに光る纜汐干潟 泊雲

いくつめの橋くぐりたる汐干かな 万太郎

なつかしや汐干もどりの月あかり 万太郎

津の海のしりぞきにけり汐干狩 草城

主遠く吠ゆる犬あり汐干潟 泊雲

汐干潟音して流る水もあり 泊雲

宮島は西日にあかき汐干かな 橙黄子

汐干潟籠さげて潮湯の廊下かな 爽雨

廻廊を潮くぐり鳴る干潟かな 爽雨

廻廊に書を抱く禰宜や夕干潟 爽雨

裏濱は家族ばかりの汐干潟 虚子

ぬるき汐つめたき汐や汐干狩 風生

大風によろめきながら潮干狩 みどり女

飛びつれて白鷺迅し汐干潟 淡路女

相よべぬ程に離れつ汐干人 淡路女

千鳥ともいふ足あとよ汐干潟 淡路女

手拭を水に落とせし汐干かな 淡路女

穴守の御堂ははるか潮干狩 茅舎

潮干舟新月は帆にほのめきぬ 蛇笏

母美しとほき干潟にゐてひかり 不死男

昔ここ六浦とよばれ汐干狩 虚子

昼餉終へ夢のごとくに遠干潟 立子

母たのし汐干にあそぶ子を眺め 立子

沖船の動きそめけり汐干潟 虚子

汐干岩藻をうちかぶり現れし 素十

雙眼にあまる干潟の浪の畝 誓子

小波の干潟の上を乳母車 たかし

鳥羽湾の島々高く大汐干 虚子

胸白き者と箸とる汐干潟 静塔

君の為海の貝掘る田鍬にて 静塔

大干潟立つ人間のさびしさよ 朱鳥

あすもある干潟と思ひゆきてみず 波津女

芙蓉峰うち仰ぎもす汐干狩 蛇笏

大干潟小粒の牡蠣を割り啜る 三鬼