和歌と俳句

囀り さえずり

紺青の乗鞍の上に囀れり 普羅

さへづりや二筋はしる平湯径 普羅

耳遠き母にさへずり昼過まで 鷹女

囀りの左移りや右移り 汀女

囀りの尾をしわめ鳴く鳥は何 虚子

囀に耳あそばせて手紙かく 立子

囀に心あそばせ子守唄 立子

囀のゆるがす崖に温泉壺かな たかし

囀りが処女の柩車を軽くせり 静塔

囀や過去は金襴緞子もて 鷹女

囀りの高音高音にうながされ 汀女

囀りや都会を見ざること久し 草城

囀りのあるひは雲にとどきけり 万太郎

囀りのよぶ朝々のくもりかな 万太郎

囀りに芭蕉は菰を着つつ倦む 爽雨

杉山の杉の一穂に囀るも 爽雨

雲退きてこころにくくも囀れり 青畝

囀や海の平らを死者歩く 鷹女

囀りを臥して余生のごとく聞く 林火

囀りの斑雪の上にはじまれり 林火

囀や牧の端より登山道 悌二郎

囀や耳も遺影は引伸し 静塔