和歌と俳句

俊惠法師

葉かへせぬ 歌の林に 枝かはす このきみたちや ちよのわが友

年を経て なれそふ鶴の 数みれば わが千代までも たのもしきかな

知らばやな いくよろづよか 三笠山 君とありあけの 月はすむべき

子の日して 千歳の数を 瑞垣の ひさしかるべき 程をこそまて

君がひく 子の日の松を 今年より いま幾千代も 神のまにまに

君が代の 数とや神も 定むらむ しきなみかくる 住吉の松

君が経む よはひをかねて 幾千代と 浪の数とる 住吉の松

君が経む 千代のかざしか いつとなく 浪もて結へる 住吉の松

君がへむ よはひを千々に わけてみば そのひとつこそ よろづよならめ

春の日の ひかりににほふ 藤なれば すゑ葉までこそ 咲き栄えけれ

曇りなき 影をかはして よろづよに 君ぞ三笠の 山の端の月

めづらしく 若葉さしそふ 藤の花 いととそきたへ さかえましける

新古今集・離別
かりそめの 別と今日を 思へども いさやまことの 旅にもあるらむ

新古今集・離別
はるばると 君が分くべき 白波を あやしやとまる 袖にかけつる

はるばると もじのせきぢを 隔てずば ふみみてだにも なぐさめてまし

これをみよ こひしかるべき 行末を おもふにだにも 濡るる袂よ

かへりこむ その日は告げよ かねてより ゆきあふさかの 関にまちみむ

住吉の かたときくより いとどしく まつに久しき ものをやおもはむ

かへるばき みちとは聞くを わが涙 いかで知るらむ うつせみの世を

しひてなほ ゆきなむ君と きくからに かつみなからも 恋ひしきやなぞ