和歌と俳句

春の宵 春宵

春の宵北斗チクタク辷るなり 普羅

ひえびえと浅間がすわる春の宵 普羅

切株の松脂ひかる春の宵 普羅

春の宵妻のゆあみの音きこゆ 草城

春宵の我にかしづく小人形 虚子

町中に紫を引く春の宵 虚子

人の世の小唄習ふも春の宵 虚子

誰ぞとなく春宵の墨濃にしつつ 汀女

膝にとる猫雪のごとし春の宵 風生

道広きソートレーキの春の宵 立子

春の宵子の旅ばなし聴き倦かぬ 草城

春宵やセロリを削る細身の刃 波郷

春宵の玉露は美酒の色に出づ 風生

無為といふこと千金や春の宵 風生

春宵の人出ますます数寄屋橋 立子

画室春宵パレットのごと床汚れ 爽雨