和歌と俳句

辛夷 こぶし

中年の辛夷を愛づる限りなく 鷹女

待たれゐる如しも辛夷咲きたけて 鷹女

青天と辛夷とそして真紅な嘘 鷹女

雑木山にこぶし点々子の初旅 綾子

青空ゆ辛夷の傷みたる匂ひ 林火

山越の鴉こゑなし花辛夷 波郷

雨も風もやむけしきなきこぶしかな 万太郎

辛夷咲き畦の卍も青みたり 秋櫻子

風搏つや辛夷もろとも雑木山 波郷

大辛夷咲きつつつぼみ餘りあり 爽雨

辛夷咲き善福寺川縷の如し 秋櫻子

大藁家辛夷がくれになき如し 風生

満開の切なさ辛夷蒼味帯ぶ 鷹女

辛夷さき川沿ひに町はじまれり 林火

瞼つめた辛夷初花いつ濡れしか 林火

生きものに恋の季節の遠辛夷 悌二郎

磐梯の斑雪飛び来て咲く辛夷 悌二郎

雪片の過ぐ花辛夷うすみどり 林火

辛夷白し雨脚もその高さより 林火