和歌と俳句

西山泊雲

雨やんで月に藁屋の軒雫

落月に鴟尾すさまじや山の寺

馬つなぐ橋の袂の地蔵盆

散るや掃き拡げたる潦

北嵯峨や萩より抜けて松の幹

土の皺に流れたまりて萩の花

葛の花四五聯かけて巌かな

物干すに躓く石や鳳仙花

鹿の足よろめき細し草紅葉

ガラス戸の青みどろなり後の月

藪が根を流るゝ溝や後の月

疾くゆるく流れ居る木膚哉

汲水にコスモス映る祭かな

真つ青き蜜柑も売るや秋祭

蝗くはへて獣の如き蟷螂かな

細葉はさんであと足高しきりぎりす

花瓣皆巻きて萎えたる芙蓉かな

穂薄に稜きはやかや芙蓉の葉

浅水にさらさら流れ一つ

暮近く一瀑かゝりぬ紅葉狩

鶏掻いて痛めし土や鳳仙花

定期船出ずときめて寛ろぐ宿の秋