倒れては遠逃げすなり木の実独楽
屋根草の花野つづきに一戸あり
峰の雨あがる紅葉に雲をはね
いわし雲僧形文部省に入る
鶏頭の数行種をとりしあと
朔日の初心の句作神無月
ふところに種ふとこぼれ柿うまき
秋ふかき木瓜の実美しりんごほど
萩刈りて年輪見ゆる切口も
盂蘭盆や参りかむさる小佛壇
さしのぞく小写真盆の佛壇に
紐一つ二つ甚平着なれたる
甚平のむすぶ紐にも縞ながれ
秋風の甚平ふかく紐を結ふ
馬肥ゆる牧を荘厳してサイロ
天高きサイロあふぐに窓真闇
花野なるサイロも糧の満つるころ
石狩の荒波河畔牧馬肥ゆ
書きちらす稿に秋扇かくれ去る
到来の栗をよろこぶ汝も栗か
谷の闇鹿火いま消ゆる瞑るごと
ゆく方なきごと寝に分れ蟲の坊
登り窯休みて昼の蟲内外