和歌と俳句

皆吉爽雨

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倒れては遠逃げすなり木の実独楽

屋根草の花野つづきに一戸あり

峰の雨あがる紅葉に雲をはね

いわし雲僧形文部省に入る

鶏頭の数行種をとりしあと

朔日の初心の句作神無月

ふところに種ふとこぼれうまき

秋ふかき木瓜の実美しりんごほど

萩刈りて年輪見ゆる切口も

盂蘭盆や参りかむさる小佛壇

さしのぞく小写真の佛壇に

紐一つ二つ甚平着なれたる

甚平のむすぶ紐にも縞ながれ

秋風の甚平ふかく紐を結ふ

馬肥ゆる牧を荘厳してサイロ

天高きサイロあふぐに窓真闇

花野なるサイロも糧の満つるころ

石狩の荒波河畔牧馬肥ゆ

書きちらす稿に秋扇かくれ去る

到来のをよろこぶ汝も栗か

谷の闇鹿火いま消ゆる瞑るごと

ゆく方なきごと寝に分れの坊

登り窯休みて昼の蟲内外