和歌と俳句

花見

諸人の花に会して宇治の宿 虚子

花づかれ人よけ立ちて髪に手を 立子

風呂落す音も聞えて花の宿 虚子

能登言葉親しまれつつ花の旅 虚子

草臥の一日々々や花の旅 虚子

浪花出て熊野めぐりて花の旅 虚子

師の駕とともにあるなり花疲 青畝

花見とは地に莚敷き酒に酔ひ 立子

花人も阿波人形に似通へる 立子

坐りたるまゝ帯とくや花疲れ 真砂女

足袋を脱ぐ足のほてりや花疲れ 真砂女

ここに来て百万石の花見せん 虚子

姉妹の著物貸し借り花の旅 虚子

花見にと馬に鞍置く心あり 虚子

舟ばたを敲くは誰ぞ花見舟 万太郎

声高の一人は誰ぞ花見舟 万太郎

カメラもたぬ花人とてはなかりけり 万太郎

花疲れおいてきぼりにされにけり 万太郎

年寄の一つ年とる花見して 静塔

そそくさうきうき野良連の花見連 静塔

野良着よりましなもの着て花疲れ 静塔

西海の風花人はまだ唄ふ 汀女

花衣着て三鬼以下雲を漕ぐ 静塔