和歌と俳句

風鈴 ふうりん

風鈴に何処へも行かず暮しけり 淡路女

うつくしき風鈴一つ売れにけり 石鼎

風鈴をおろして置きし机かな 石鼎

風鈴や一夜嵐に音を絶し 喜舟

風鈴の鳴りまつはるや思ひごと 淡路女

風はうらから風鈴の音もつつましく 山頭火

ひえびえとして夜明ける風鈴のなる 山頭火

風鈴のしきりに鳴るよい訪ねてくれる日の 山頭火

風が吹きぬける風鈴と私 山頭火

鳴るは風鈴、この山も住みなれて 山頭火

風鈴や畑づかれのあふむけに 石鼎

風鈴のそろはぬ音なれ二つ吊り 汀女

風鈴や浅草田圃みはるかし 万太郎

風鈴や雨となりたる風の冷え 万太郎

病めば考へなほすことが、風鈴のしきりに鳴る 山頭火

夕風がでてあんたがくるころの風鈴が鳴る 山頭火

假吊の風鈴しげく鳴りにけり 汀女

山ざとに風鈴きけばさびしもよ 犀星

風鈴や古典ほろぶる劫ぞなき しづの女

風鈴に青葦あをき穂を孕む しづの女

瑞葦に風鈴吊りて棲家とす しづの女

軒ふかしこの風鈴を吊りしより しづの女

風鈴や一と泣きしたる児の機嫌 淡路女

風鈴や肌さらさらと病よき みどり女

風鈴の下にけふわれ一布衣たり 風生

風鈴の音が眼帯にひびくのよ 鷹女

風鈴に眠らうとして眼がひとつ 鷹女

風鈴に雨やむ闇の更たけぬ 蛇笏