和歌と俳句

日永 永き日

ながき日やちる花やどす龍の髭 万太郎

永き日を妻と暮らしつ子は措きて 草城

永き日や琴に倚らずば何に倚らむ 節子

永き日やみのむし庵のわらぢ塚 万太郎

永き日の餓ゑさへも生いくさなす 草田男

いづれのおほんときにや日永かな 万太郎

永き日のわれ等が為の観世音 虚子

うちとけて日永の膝をくづしけり 真砂女

はらのたつほど波たたぬ日永かな 万太郎

永き日を千の手載せる握る垂らす 誓子

何ごともあつけらかんと日永かな 万太郎

煙突の日毎煙吐く日永かな 万太郎

彩窓に日永のステンドグラスかな 青畝

永き日や目に押しあつる蟲めがね 万太郎

鉛筆を削りためたる日永かな 万太郎

杣着にて禅師のおはす日永かな 青畝

永き日の末の夕日を浴び歩く 林火

永き日やへの字口せるブルドツグ 青畝