源具親朝臣
のちの世を たのむたのみも ありなまし ちぎりかはらぬ わかれなりせば
藤原永光
のちのよと いひてぞひとに わかれまし あすまでとだに しらぬいのちを
津守経国
あふことの いまいくとせの つきひへて 猶なかなかの 身をもうらみむ
賀茂季保
おなじ世に 猶ありながら あふことの むかしがたりに なりにけるかな
浄意法師
せきかぬる なみだのつゆの たまのをの たえぬもつらき ちぎりなりけり
下野
かたいとの あはずはさてや たえなまし ちぎりぞ人の ながきたまのを
従三位範宗
としをへて あふことは猶 かたいとの たがこころより たえはじめけん
權中納言定家
たれもこの あはれみじかき たまのをに みだれてものを おもはずもがな
後京極摂政前太政大臣良経
うつろひし こころのはなに はるくれて 人もこずゑに あきかぜぞふく
前関白道家
めのまへに かぜもふきあへず うつりゆく こころのはなも いろはみえけり
よみ人しらず
あだびとの こころのうちを みせたらば いとどつらさの かずやまさらん
よみ人しらず
なににてか うちもはらはむ きみこふと なみだにそでは くちにしものを
本院侍従
すりごろも きたるけふだに ゆふだすき かけはなれても いぬるきみかな
天暦御製
ふゆのよの ゆきとつもれる おもひをば いはねどそらに しりやしぬらん
御返し 更衣正妃
ふゆのよの ねざめにいまは おきてみむ つもれるゆきの かずをたのまば
中納言朝忠
ながれての なにこそありけれ わたりがは あふせありやと たのみけるかな
光孝天皇御製
やまがはの はやくもいまも おもへども ながれてうきは ちぎりなりけり
法性寺入道前摂政太政大臣道長
夜もすがら くひなよりけに なくなくぞ まきのとぐちに たたきわびぬる
返し 紫式部
ただならじ とばかりたたく くひなゆゑ あけてはいかに くやしからまし
相模
われもおもふ きみもしのぶる あきの夜は かたみにかぜの おとぞ身にしむ
貫之
はなならで はななるものは しかすがに あだなるひとの こころなりけり