和歌と俳句

前田普羅

新涼や豆腐驚く唐辛

慌しく大漁過ぎし秋日かな

膝長う座れる人や十三夜

いづこよりのさし居る葎哉

の人動く川尻の家居かな

山人のくしやみやとどく秋の雲

露乾かで山茶屋ありぬ十一時

有る程の衣をかけたり秋山家

秋山に騒ぐ生徒や力餅

温泉にとめし眼を大切や秋の山

さざめきて秋水落つる山家かな

秋出水乾かんとして花赤し

秋出水高く残りし鏡かな

太鼓懸くれば秋燕軒にあらざりき

虫なくや我れと湯を呑む影法師

落ち落ちて鮎は木の葉となりにけり

切るや唇荒れて峯高し

桔梗や一群過ぎし手長蝦

山寺の局造りや鳳仙花

人の如く鶏頭立てり二三本

しみじみと日を吸ふの静かな

花更へて本積みかへて夜寒かな

雲いろいろ彩る二百十日かな