われを囲む若者ばかり星祭
老いしとおもふ老いじと思ふ陽のカンナ
老いぬれば吾が身丈低しカンナより
胸深く朽ちよカンナを供花となし
一集を編むことかたし野分跡
競ひ咲く花にはあらず芙蓉咲く
蟲時雨わが哭くこゑもその中に
ぐみ一樹ひそかに派手を尽しけり
抹殺の朱筆をおきてさわやかに
へちま垂る地異天変のあらざれば
糸瓜垂れ古き女のむれに入る
水に来ておのれ映れり秋の蝶
わが死後やかくて夜更けの走馬燈
がくぜんと秋や不貞寝の床を出て
かなかなや指組めば似る晩祷に
響なし音無し既に枝垂萩
十三夜月に孤りの鼻梁焦げ
葉ばかりのカンナとなりぬ祷りつつ
爽かや火を噴く山の頂も
はぎすすき地に栖むものら哭き悲しむ
瞳をつむり一語一語が露となる
秋かぜの残る一燈消して寝る
菊挿すと肉親の墓はごしごし洗ふ