和歌と俳句

新勅撰和歌集

藤原光俊朝臣
あかしがた あまのたくなは くるるより くもこそなけれ 秋の夜の月

權大納言宗通
しづのをの かどたのいねの かりにきて あかでもけふを くらしつるかな

藤原道信朝臣
いとどしく ものおもふやどを きりこめて ながむるそらも 見えぬけさかな

前大僧正慈円
夜半にたく かびやがけぶり たちそひて あさぎりふかし をやまだのはら

前大僧正慈円
もしほやく けぶりもきりに うづもれぬ すまのせきやの あきのゆふぐれ

正三位知家
けぶりだに それともみえぬ ゆふ露に 猶したもえの あまのもしほ火

正三位家隆
ふみわけん ものともみえず あさぼらけ たけのはやまの きりのしたつゆ

西行法師
をぐらやま ふもとをこむる ゆふぎりに たちもらさるる さをしかのこゑ