如願法師
あだにみし ひとのこころの ゆふだすき さのみはいかが けけてたのまん
殷冨門院大輔
あひみても さらぬわかれの あるものを つれなしとても なになげくらん
崇徳院御製
おろかにぞ ことのはならば なりぬべき いはでやきみに そでをみせまし
崇徳院御製
さきのよの ちぎりありけん とばかりも 身をかへてこそ 人にしられめ
權大納言隆季
あふさかの せきのせきもり こころあれや いはまのしみづ かげをだにみむ
典侍因子
よそにのみ ゆふつけどりの ねをぞなく その名もしらぬ せきのゆききに
殷冨門院大輔
まだこえぬ あふさかやまの いはしみづ むすばぬそでを しぼるものかは
中宮少将
いかにせん こひぢのすゑに せきすゑて ゆけどもとほき あふさかのやま
祝部成茂
あふさかの やまはゆききの みちなれど ゆるさぬせきは そのかひもなし
勝命法師
こひぢには ただすゑおきし せきなれば おもふこころを とほさざるらん
藤原伊経朝臣
こひぢには まづさきにたつ わがなみだ おもひかへらん しるべともなれ
權中納言長方
伊勢の海 をふのうらみを かさねつつ あふことなしの 身をいかにせん
寂蓮法師
をふのうみの おもはぬうらに こすしほの さてもあやなく たつけぶりかな
参議雅経
うらみじな なにはのみつに たつけぶり こころからやく あまのもしほ火
正三位知家
うらみても わがみのかたに やくしほの おもひはしるく たつけぶりかな
源家長朝臣
しらせばや おもひいりえの たまがしは ふねさすさをの したにこがると
藤原行能朝臣
かずならぬ みしまがくれに こぐふねの あとなきものは おもひなりけり
寂延法師
はるがすみ たななしをぶね いりえこぐ おとにのみきく ひとをこひつつ
殷冨門院大輔
うかりける よさのうらなみ かけてのみ おもふにぬるる そでをみせばや
皇太后宮大夫俊成
わがこひは なみこすいその はまひさぎ しづみはつれど しるひともなし