和歌と俳句

藤原顕輔

あさましや 千島のえぞの つくるなる 毒きの矢こそ ひまはもるなれ

ひとよとは 祈らざりしを かひもなく 心さだめぬ うきしまの神

ひとこころ やすのこほりと きくなへに 尽けど尽きせず 運ぶ稲かな

ちはやふる みかみの山の 榊葉を 香をかぐはしみ とめてこそとれ

雲かかる たかみくら山 のぼる日の 遥かに見ゆる 君が御代かな

濁りなき たまかけの井の 底きよみ すみよき世にも 逢ひにけるかな

君が代は ながらの山の いはね松 千たび八千たび 花の咲くまで

やすみしる わが大君の 御代にこそ いとどやすらの 里も富みぬれ

四方の海 波も音せぬ 君が代と よろこびわたる 佐野のふなはし

いつしかと あさひの里を たちいでて 急ぎも運ぶ みつぎものかな

よろづ代と おほとみ山ぞ 呼ばふなる 久しく君を さかゆべしとか

君が代は たのしかるらし つねよりも 年経て見ゆる あきとみのむら

君が代は なかみね山に 双葉なる 小松の千たび 生ひかはるまで

はるばると みやりの丘の 若菜こそ 千歳の春は つむべかりけれ

いづれをか わきてもをらむ 梅原は 心に染まぬ 色し見えねば

君が代は 民の心の ひとかたに なびきて見ゆる 青柳のむら

八重たてる しらくも山の さくら花 かをるばかりや しるしなるらむ

いはねども くちなし色に しるきかな こや音にきく 山吹のさき

年ごとに 絶えずひくかな あやめ草 ねもながさはの 池をたづねて

見渡せば ちくらの里に あまるまで 数も知られず とる早苗かな