和歌と俳句

源 実朝

東路のみちのおくなる白河のせきあへぬ袖をもる涙かな

信夫山したゆく水のとしをへてわきこそかへれあふよしをなみ

心をし信夫の里にをきたらば阿武隈川はみまくちかけん

逢坂の関屋もいづら山科の音羽の滝の音に聞きつつ

涙こそゆくゑもしらね三輪のさき佐野のわたりの雨の夕暮れ

沖つなみ打出の浜のはまひさぎしほれてのみや年のへぬらん

熊野の浦の浜木綿いはずともおもふ心の数をしらなむ

新勅撰集・恋
さむしろに露のはかなく置きいなばあかつきごとに消えやわたらん

新勅撰集・恋
わがこひは あはでふるのの をざさはら いくよまでとか しものおくらん