和歌と俳句

正岡子規

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柳散り菜屑流るる小川哉

家やいづこ夕山紅葉人帰る

山に倚つて家まばらなりむら紅葉

たたかひのあとを野山の錦かな

錦弓や店にならべし青蜜柑

鳥啼いて赤き木の実をこぼしけり

朝顔の引き捨てられし莟かな

地に引くや雀のすがる萩の花

武蔵野や畠の隅の花芒

稲刈りて野菊おとろふ小道かな

大寺の礎残る野菊かな

墓原や小草も無しに鶏頭花

うつくしき色見えそめぬ葉鶏頭

戸あくれば紙燭のとどく黄菊

白菊の老いて赤らむわりなさよ

菊咲くや草の庵の大硯

木棉ながら善き衣着たり菊の花

いやが上に野菊露草かさなりぬ

芭蕉破れて露おくべくもあらぬ哉

ものの香のあるべくも思ふかな

蕎麦植ゑて人住みけるよ藪の中

黍がらや鶏あそぶ土間の隅

白帆見ゆや黍のうしろの角田川

唐黍に背中うたるる湯あみ哉

稲の花道灌山の日和かな