和歌と俳句

源頼政

さのみやは おもかげならで 見えざらむ くもゐの花に 心とどめは

さくら咲く 磯やまぢかく 漕ぐ舟の かたのりせぬは あらじとぞ思ふ

かけわたす 木曽路の橋の 絶え間より あやぶみながら 花を見るかな

たづねじと やどに桜を 植ゑしかど おぼつかなみの 春の山辺や

山桜 たづね見る間に やどなるは みをうらみてや 散むとすらむ

花ゆゑに 風な厭ひそ 散ればこそ かきあつめても いへづとにすれ

いにしへも とものみやつこ いさめけり 散る花とても いへづとにすな

散り積もる 花はいくらと 人とはば 風のはらひて いにしとをいへ

散る花を 風におほせて なしといはば おなじ名ぞとや 吹かむとすらむ

冬枯れの 野辺のにひやけ 程ふれば また早蕨ぞ 萌え出でにける

めづらしき 人にもあひぬ 早蕨の 折りまく我も 野辺にきにけり

散らざりし 程はまもなく こし人の 花ふみわくる あとのともしさ

山桜 散りにけりとは 初瀬川 すゑくむ里の 人や知るらむ

花はみな 散りぬと思ふ かなしきに 我なぐさめよ 峰の白雲

はだれ雪 降るかと見れば ここのへに 散り重なれる 花にぞありける

なはの海の 沖行く舟ぞ 過ぎやらぬ 高津の宮の 花や見ゆらむ

藤波も みぎはに寄する 音すなり かかれる松に 風や吹くらむ

あだならぬ まつのえごとに 咲く花の 散るにぞよその と知りぬる

住の江の みぎはに松の なかりせば ふたきに藤を かけてみましや

見る人を などやかへさぬ 藤の花 這ひ纏はれよ とかはをしへし