和歌と俳句

正岡子規

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青梅や黄梅やうつる軒らんぷ

店さきに幾日を経たる李哉

君が墓 のびて二三間

さくや根岸の里の貸本屋

河骨の水を出兼る莟哉

行水をすてる小池や蓮の花

蓮の花さくや淋しき停車場

紫陽花やはなだにかはるきのふけふ

紫陽花やきのふの誠けふの嘘

撫し子やものなつかしき昔ぶり

鶏の塀にのぼりし

夕顔に女世帯の小家かな

小山田に早苗とるなり只一人

ほろほろと手をこぼれたるいちご

旅人の岨はひあがるいちご哉

いちごとる手もと群山走りけり

蝶を追ふ虻の力や瓜の花

瓜ぬすむあやしや御身誰やらん

真桑瓜見かけてやすむ床几哉

我はまた山を出羽の初真桑

花のあとにはや見えそむる胡瓜