もみぢ葉も みなちりはてて ははそはら けふはこずゑぞ まばらなりける
かみなづき しぐるるころは あづまやに あまやどりする ひとぞたえせぬ
おく霜は しのびのつまに あらねども あしたわびしく きえかへるかな
かきくらし にはかにもふる あられかな みやまおろしの かぜにたぐひて
しらゆきの ふりしきぬれば こけむしろ あをねがみねも みえずなりゆく
をちかたに いへゐやすらむ なにはがた あしかりをぶね しげくゆきかふ
新古今集・冬
うらかぜに ふきあげのはまの はまちどり なみたちくらし よはになくなり
おくやまの みなかみふかく こほればや おちこしたきの おともきこえず
いけみづの うきねながらに いかにして をしのつがひの はなれざるらむ
あじろぎに なみのよるよる やどりして あやしくひをも くらしつるかな
さかきばに ゆふしでかけて もろびとの ときはにのみも あそぶべきかな
みかりびと ちかくなりゆく すずのねを かたののきぎす いかがきくらむ
よもやまの ふゆのけしきに なるままに をののすみがま けぶりたちます
ねざめして かきおどろかす うづみびぞ ふゆのよふかき ともにはありける
はかなしや わがみものこり すくなきに なにとてとしの くれをいそぐぞ
よそながら 恋はいろにも あらなくに こころにふかく おもひそめてき
ひとしれぬ 恋にはみにも えぞなけぬ とどまらむ名を せめておもへば
いたづらに あはでとしふる 恋にのみ くちぬるそでを なほいかにせむ
つれなさに おもひこりずと なげきしを けさはうれしき こころなりけり
あひみての あしたの恋に くらぶれば まちしつきひは なにならぬかな
かげろふの ほのみしひとに あひみねば あるにもあらず 恋にけぬべし
あふことは なぎさのうらに やどりして うらかなしかる 恋もするかな
うちもいでぬ なかのおもひの くるしきは けぶりたたねば しるひとぞなき
なみよする あらきいそべの かたおもひ ひまなくそでを ぬらすころかな
われからと おもひしれども まくずはら かへすがへすぞ うらみられける